Paddles
グリーンランドパドルを使い始めて20年以上になります。控えめなデザイン&シンプルな形に秘められた高いポテンシャル。ここに心を奪われてしまったわけです。最初のグリーンランドパドルは塩島さんによるものでした。1本オーダーすると「これも使ってみてください」とお試しパドルも送ってくれました。微妙な長さの違いが使い勝手に影響することが面白くて堪りませんでした。結局、6本ぐらいのコレクションがあったかと思います。その後、海外のグリーンランドパドルやカーボンなども使ってみました。多少の違いはあれど、やっぱりグリーンランドパドルは面白いです。今では、いわゆる“スタンダード”から外れ、独自のサイズを好んで使ってます(これについては後述します)。グリーンランドスタイルは自由です。広い海で自由を謳歌してください。
Size
サイズの選定は重要です。パドルを含むグリーンランドカヤックの世界は、道具のサイズを自分の体の寸法で決めることが多いです。パドルでよく訊かれるのは「長さ」についてです。立って片腕を上へ伸ばし中指の第一関節が引っかかる部分が、スタンダードな長さになります。 画像「Length」をクリックしてみてください。まずはスタンダードサイズを使ってみて、自分の好みを模索するのが良いと思います。次に、案外見落としがちというか、適正サイズをお持ちでない方が多いのが「幅」です。漕いだときのトルク(推進力)を気にしてか、自分の手に余るような幅のパドルを使っている方を散見します。最大幅はパドルの先端になるわけですが、ここをしっかり自分の手で握れるようなサイズにするべきでしょう。ロールをするときなどは、特に気を遣います。握りきれてなくて、ロールの最中にパドルを滑らせてしまうというシーンを何度か見てきました。「あんまり細いと漕いだときに進まないのでは」という心配もあるかと思います。試してみてください。結構、細くても漕ぎ方次第でちゃんと進みます。
Hinomaru Qajaqs
STORM ONではHinomaru Qajaqsのパドルを取り扱っております。サイズや樹種など、ご希望に応じてオーダーを承ります。価格については大まかに下記の通りとなります。オーダー等のご相談はコチラまでお願いします。

イエローシーダー:41,200円(税抜き)
レッドシーダー:46,400円(税抜き)

正直、安くはないです。他のメーカーと比較しても「高い」と言っていいでしょう。しかし、この価格に見合った品質であることは保証します。むしろ、もっと高くても不思議はないぐらいです。代表の古谷さんは樹種に精通しており、その特性をパドルにしっかり反映させてくれます。愛用しているSTORM ONモデルもHinormaru Qajaqsによるものです。
ちなみにSTORM ONモデルは通常のストームパドルよりも短くて細いです。まったくもって心細い仕様に見えますが、これには理由があります。特にロールをするときですが、多くの人はパドルありきで回っているかと思います。果たして下半身をどれだけ使っているでしょうか。スカスカなパドルでは、レッグドライブを使わなければロールはままならないです。「美しいストームロール」に仕上げるなら尚更です。というわけで、STORM ONモデルは下半身強化用なのでした。オーダーは随時お受けしますが、試用パドルを使ってみてからの方が良いと思います。

さて、ここで体操でもしましょう(笑)。
パドルを使ったちょっとトリッキーなエクササイズです。見た目通り、かなりの柔軟性が求められます。まぁ、せいぜい「俺の腕はそっちには曲がらねぇーんだよ!」なんて悪態をつきながらお試しください(笑)。初めてこれを見たのが小川原湖(青森県三沢市)でのGUTS2011(QajaqJPN,主催)でした。悪天候で、小川原湖自然楽校の体育館でのメニューに変更となり、そこでゲストのヘレン・ウィルソンが見せてくれたのです。それはそれは、流れるようにスルスルと見事なものでした。参加者のみなさんでトライしてみましたが、数十秒後には地獄絵図が展開してました、とさ(笑)。

Red Cedar Paddles
画像のように、同じサイズで樹種が違うパドルを手にとっていただくと、殆どの人がレッドシーダーを「これ、軽くていいですね!」と言います。ちなみに、他はイエローシーダーとスプルースです。確かにレッドシーダーは他のふたつと比べて段違いで軽いです。軽いパドルは長時間使っても疲れが少ないというイメージが強いのでしょう。しかし、ここに一得一失があることを忘れてはいけません。レッドシーダーは柔らかいこともあって、弱いです。ちょっとぶつけただけで凹み傷ができます。まぁ逆に加工しやすいという利点はありますけど…。過去20数年の間に、何度か目の前でパドルを折った方々を見てきましたが、ほぼレッドシーダーでした。ロールの最中に水中でパドルが折れて、折れた先端が顔に向かって(浮力が手伝って)突っ込んできたという話も聞いたことがあります。一概に軽さだけで決めてしまうのは、それなりのリスクが伴うということです。 しかし、それではレッドシーダーはパドルの樹種として失格なのでしょうか? いえいえ、そんなことはありません。要は「使い方」なのです。なぜパドルが折れるかを考えてみてください。もちろん劣化という要素もありますが、ここでは除外します。あくまでも「新品が折れた」ということで考えてみましょう。いま、お手元にパドルがあるなら、それを折る動作をしてみてください。おそらく、立って先端を床か地面に押し付けたのではないでしょうか。ブレードに負荷をかけすぎるとショルダーあるいはルームとの境目から折れます。「そんなの当たり前だろ!」と怒られそうですが、当たり前と分かっていながらも海上で折れてしまうんですよね。それはやはり負荷の蓄積なのです。パドリングもロールもパドルに頼りすぎると、そのダメージが徐々に積み重なっていきます。と、ここまで引っ張っておいてなんですが、私はレッドシーダーパドルを愛用しています。軽くていいですよ(おいおいおい)。長く付き合いたいので、折らないように意識的に努めていることがあります。「脚」です。脚を使うことでパドルへの負担を軽減させています。ロール時のレッグドライブはもちろんですが、パドリングのときもしっかりフットブレースを蹴り込む。これらをするだけでパドルへの負担はかなり違うと思います。スキルアップとパドルのセーブで、一石二鳥です。

Stock in the STORM SHELTER
STORM SHELTERにはHinomaru Qajaqs製のパドルを始め、塩島パドルGEAR LABのカーボンパドル等のストックを置いてあります。お試し用としてお使いください。素材の違い、サイズの違いを体感してからご自分のパドルについてあれこれ悩むのも悪くないです。
かつて自分がグリーンランドスタイルに足を踏み入れたとき、情報を手に入れることにかなり難儀しました。今のようにインターネットもお手軽ではありませんでしたしね。結局、実際に“道具”を持っている人、あるいは使ったことがある人に直接お尋ねするしかありませんでした。それでも数にすれば僅かです。新たにこの世界に入ってくる方々について、そういった煩わしさを少しでも軽減できればと思います。そういう意味ではSTORM SHELTERは万能でありたいです。まだまだ精進が必要ですな。何はともあれ、お待ちしてます。
編集続行中